p149 / 顕浄土真実教行証文類序(教行信証・総序)

顕浄土真実教行証文類序

 1竊かに以みれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無碍の光明は無明の闇を破する恵日なり。2しかればすなわち、浄邦縁熟して、調達、闍世をして逆害を興ぜしむ。浄業機彰れて、釈迦、韋提をして安養を選ばしめたまえり。これすなわち権化の仁、斉しく苦悩の群萠を救済し、世雄の悲、正しく逆謗闡提を恵まんと欲す。3かるがゆえに知りぬ。円融至徳の嘉号は、悪を転じて徳を成す正智、難信金剛の信楽は、疑いを除き証を獲しむる真理なりと。4しかれば、凡小修し易き真教、愚鈍往き易き捷径なり。大聖一代の教、この徳海にしくなし。穢を捨て浄を欣い、行に迷い信に惑い、心昏く識寡なく、悪重く障多きもの、特に如来の発遣を仰ぎ、必ず最勝の直道に帰して、専らこの行に奉え、ただこの信を崇めよ。5ああ、弘誓の強縁、多生にも値いがたく、真実の浄信、億劫にも獲がたし。たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ。もしまたこのたび疑網に覆蔽せられば、
竊以難思弘誓度難度海大船、無碍光明破無明闇恵日。然則浄邦縁熟調達闍世興逆害。浄業機彰釈迦韋提選安養。斯乃権化仁、斉救済苦悩群萌、世雄悲正欲恵逆謗闡提。故知円融至徳嘉号転悪成徳正智、難信金剛信楽除疑獲証真理也。爾者凡小易修真教、愚鈍易往捷径。大聖一代教無如是之徳海。捨穢欣浄、迷行惑信、心昏識寡、悪重障多、特仰如来発遣、必帰最勝直道専奉斯行、唯崇斯信。噫弘誓強縁、