たとえば、日光の雲霧に覆わるれども、雲霧の下、明らかにして闇きことなきがごとし。
 信を獲れば見て敬い大きに慶喜せん、すなわち横に五悪趣を超截す。
 一切善悪の凡夫人、如来の弘誓願を聞信すれば、
 仏、広大勝解の者と言えり。この人を分陀利華と名づく。
 139弥陀仏の本願念仏は、邪見憍慢の悪衆生、
 信楽受持すること、はなはだもって難し。難の中の難、これに過ぎたるはなし。
 140印度・西天の論家、中夏・日域の高僧、
 大聖興世の正意を顕し、如来の本誓、機に応ぜることを明かす。
 141釈迦如来、楞伽山にして、衆のために告命したまわく、
 南天竺に、龍樹大士世に出でて、ことごとく、よく有無の見を摧破せん。
 大乗無上の法を宣説し、歓喜地を証して、安楽に生ぜん、と。
 難行の陸路、苦しきことを顕示して、易行の水道、楽しきことを信楽せしむ。
 弥陀仏の本願を憶念すれば、自然に即の時、必定に入る。
 ただよく、常に如来の号を称して、大悲弘誓の恩を報ずべし、といえり。

譬如日光覆雲霧 雲霧之下明無闇
獲信見敬大慶喜 即横超截五悪趣
一切善悪凡夫人 聞信如来弘誓願
仏言広大勝解者 是人名分陀利華
弥陀仏本願念仏 邪見憍慢悪衆生
信楽受持甚以難 難中之難無過斯
印度西天之論家 中夏日域之高僧
顕大聖興世正意 明如来本誓応機
釈迦如来楞伽山 為衆告命南天竺
龍樹大士出於世 悉能摧破有無見
宣説大乗無上法 証歓喜地生安楽
顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽
憶念弥陀仏本願 自然即時入必定
唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩