果を証せしむと、いえり。
 145善導独り、仏の正意を明かせり。定散と逆悪とを矜哀して、
 光明名号、因縁を顕す。本願の大智海に開入すれば、
 行者、正しく金剛心を受けしめ、慶喜の一念相応して後、
 韋提と等しく三忍を獲、すなわち法性の常楽を証せしむ、といえり。
 146源信、広く一代の教を開きて、ひとえに安養に帰して、一切を勧む。
 専雑の執心、浅深を判じて、報化二土、正しく弁立せり。
 極重の悪人は、ただ仏を称すべし。我また、かの摂取の中にあれども、
 煩悩、眼を障えて見たてまつらずといえども、
 大悲倦きことなく、常に我を照らしたまう、といえり。
 147本師・源空は、仏教に明らかにして、善悪の凡夫人を憐愍せしむ。
 真宗の教証、片州に興す。選択本願、悪世に弘む。
 生死輪転の家に還来ることは、決するに疑情をもって所止とす。
 速やかに寂静無為の楽に入ることは、必ず信心をもって能入とす、といえり。
 148弘経の大士・宗師等、無辺の極濁悪を拯済したまう。

善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪
光明名号顕因縁 開入本願大智海
行者正受金剛心 慶喜一念相応後
与韋提等獲三忍 即証法性之常楽
源信広開一代教 偏帰安養勧一切
専雑執心判浅深 報化二土正弁立
極重悪人唯称仏 我亦在彼摂取中
煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我
本師源空明仏教 憐愍善悪凡夫人
真宗教証興片州 選択本願弘悪世
還来生死輪転家 決以疑情為所止
速入寂静無為楽 必以信心為能入
弘経大士宗師等 拯済無辺極濁悪