35(般舟讃)また云わく、万劫功を修せんこと実に続きがたし。一時に煩悩百たび千たび間わる。もし娑婆にして法忍を証せんことを待たば、六道にして恒沙の劫にも未だ期あらじ。門門不同なるを漸教と名づく。万劫苦行して無生を証す。畢命を期として、専ら念仏すべし。須臾に命断うれば、仏迎え将てまします。一食の時なお間あり、いかんが万劫に貪瞋せざらん。貪瞋は人天を受くる路を障う。三悪・四趣の内に身を安んず、と。抄要
 36(般舟讃)また云わく、定散ともに回して宝国に入れ、すなわちこれ如来の異の方便なり。韋提はすなわちこれ女人の相、貪瞋具足の凡夫の位なり、と。已上
 37『論註』に曰わく、二種の功徳相あり。一つには有漏の心より生じて法性に順ぜず。いわゆる凡夫・人天の諸善、人天の果報、もしは因・もしは果、みなこれ顛倒す、みなこれ虚偽なり。かるがゆえに、不実の功徳と名づく、と。已上
 38『安楽集』に云わく、『大集経』の「月蔵分」を引きて言わく、我が末法の時の中に億億の衆生、行を起こし道を修せんに、未だ一人も得る者あらじ、と。当今は末法なり。この五濁悪世には、ただ浄土の一門ありて通入すべき路なり、と。
 39また云わく、未だ一万劫を満たざる已来は、恒に未だ火宅を勉れず、顛倒墜堕するがゆえに。おのおの用功は至りて重く、獲る報は偽なり、と。已上
 40しかるに今『大本』(大無量寿経)に拠るに、真実・方便の願
然今拠大本、超発真実方便之願、