

問う。諸経律の中に、広く破戒を制して衆に入ることを聴さず。破戒なお爾なり、いかに況や無戒をやと。しかるにいま重ねて末法を論ずるに、戒なし。あに瘡なくして自らもって傷まんや、と。答う。この理しからず。正・像・末法の所有の行事、広く諸経に載せたり。内外の道俗誰か披諷せざらん。あに自身の邪活を貪求して、持国の正法を隠蔽せんや。ただし今論ずるところの末法には、ただ名字の比丘あらん。この名字を世の真宝とせん。福田なからんや。たとい末法の中に持戒あらば、すでにこれ怪異なり、市に虎あらんがごとし。これ誰が信ずべきや。

問う。正・像・末の事、すでに衆経に見えたり。末法の名字を世の真宝とせんことは、