せしむるがゆえに、また我がごときも今、世尊の所にして、己が境界を頂受し教勅して、言説教令す。自在の処を得て、一切闘諍飢饉を休息せしめ、乃至、三宝の種断絶せざらしむるがゆえに、三種の精気久住して増長せしむるがゆえに、悪行の衆生を遮障して、行法の衆生を護養するがゆえに、衆生をして三悪道を休息せしめ、三善道に趣向するがゆえに、仏法をして久しく住せんことを得しめんがためのゆえに、勤に護持を作す」と。
 143仏の言わく、「善いかな、善いかな、妙丈夫、汝かくのごとくなるべし」と。その時に仏、百億の大梵天王に告げて言わく、「所有の法を行じ法に住し法に順じて悪を厭捨せん者は、今ことごとく汝等が手の中に付嘱す。汝等賢首、百億の四天下おのおのの境界において、言説教令す。自在の処を得て、所有の衆生、弊悪・麁獷・悩害、他において慈愍あることなし。後世の畏を観ぜずして、刹利心および婆羅門・毘舎・首陀の心を触悩せん、乃至畜生心を触悩せん。かくのごとき殺生を作す因縁、乃至邪見を作す因縁、その所作に随いて非時の風雨あらん。乃至、地の精気・衆生の精気・正法の精気、損減の因縁を作さしめば、汝、遮止して善法に住せしむべし。もし衆生ありて善を得んと欲わん者、法を得んと欲わん者、生死の彼岸に度せんと欲わん者、檀波羅蜜を修行することあらんところの者、乃至、般若波羅蜜を修行せん者、所有の法を行じ法に住せん衆生、および行法のために事を営まん者、かのもろもろの衆生、汝等当に護持養育すべし。もし衆生ありて、受持し読誦して、他のために演説し種種に経論を解説せん。汝等、当にかのもろもろの衆生と、念持方便して堅固力を得べし。所聞に入りて忘れず、諸法の相を智信して、生死を離れしめ、八聖道を修して、三昧の根相応せん。