未来の事を知る。他心智を得、弁才無碍ならしむ。よく衆生をして世間の名利の事に貪着せしむ。また人をして、しばしば瞋り、しばしば喜ばしめ、性無常の准ならしむ。あるいは多く慈愛し、多く睡り、多く宿る、多く病す、その心懈怠なり。あるいは、にわかに精進を起こして、後にはすなわち休廃す。不信を生じて、疑い多く、慮多し。あるいは本の勝行を捨てて、更に雑業を修せしめ、もしは世事に着せしめ、種種に牽纏せらる。またよく人をしてもろもろの三昧少分相似せるを得しむ。みなこれ外道の所得なり、真の三昧にあらず。あるいはまた、人をしてもしは一日、もしは二日、もしは三日、乃至七日、定中に住して、自然の香美飲食を得しむ。身心適悦して、飢えず渇かず、人をして愛着せしむ。あるいはまた、人をして食に分斉なからしむ。たちまちに多く、たちまちに少なくして、顔色変異す。この義をもってのゆえに、行者常に、智慧をして観察して、この心をして邪網に堕せしむることなかるべし。当に勤めて正念にして、取らず着せずして、すなわちよくこのもろもろの業障を遠離すべし。知るべし、外道の所有の三昧は、みな見愛我慢の心を離れず、世間の名利恭敬に貪着するがゆえなり、と。已上
 159『弁正論』法琳の撰 に曰わく、十喩九箴篇、答す、李道士、十異九迷
 160外の一異に曰わく、太子老君は、神を玄妙玉女に託して、左腋を割きて生まれたり。釈迦牟尼は、胎を摩耶夫人に寄せて、右脇を開きて出でたり、と。乃至
 内の一喩に曰わく、老君は、常に逆い、牧女に託きて左より出ず。世尊は、化に随いて、聖母に因りて右より出でたまう、と。