すなわち往生を得、不退転に住せん」と。
また言わく、「仏、弥勒に語りたまわく、「それかの仏の名号を聞くことを得ることありて、歓喜踊躍して、乃至一念せんに、当に知るべし、この人、大利を得とす、すなわちこれ無上の功徳を具足するなり」」と。已上
龍樹菩薩の『十住毘婆沙論』（易行品）に云わく、「もし人、疾く不退転地を得んと欲わば、恭敬心をもって執持して、名号を称すべし。もし人、善根を種えて、疑えばすなわち華開けず、信心清浄なれば、華開けてすなわち仏を見たてまつる」と。
天親菩薩、『浄土論』に云わく、「世尊、我一心に、尽十方無碍光如来に帰命したてまつりて、安楽国に生まれんと願ず。我、修多羅真実功徳相に依って、願偈総持を説いて、仏教と相応せり」と。「仏の本願力を観ずるに、遇うて空しく過ぐる者なし、よく速やかに功徳の大宝海を満足せしめん」と。已上
聖言・論説、特にもって知んぬ。凡夫回向の行にあらず、これ大悲回向の行なるがゆえに、「不回向」と名づく。誠にこれ選択摂取の本願、無上超世の弘誓、一乗真妙の正法、万善円修の勝行なり。『経』（大経）に「乃至」と言うは、上下を兼ぬるなり、中を略するの言なり。「一念」と言うは、すなわちこれ専念なり、専念はすなわちこれ一声なり、一声はすなわちこれ称名なり、称名はすなわちこれ憶念なり、憶念はすなわちこれ正念なり、
聖言論説、特用知。非凡夫回向行、是大悲回向行故、名不回向。誠是選択摂取之本願、無上超世之弘誓、一乗真妙之正法、万善円修之勝行也。経言乃至者兼上下、略中之言。言一念者即是専念、専念即是一声、一声即是称名、称名即是憶念、憶念即是正念、正念即是正業也。