19
善知識にあうことも
 おしうることもまたかたし
 よくきくこともかたければ
 信ずることもなおかたし
20
一代諸教の信よりも
 弘願の信楽なおかたし
 難中之難とときたまい
 無過此難とのべたまう
21
念仏成仏これ真宗
 万行諸善これ仮門
 権実真仮をわかずして
 自然の浄土をえぞしらぬ
22
聖道権仮の方便に
 衆生ひさしくとどまりて
 諸有に流転の身とぞなる
 悲願の一乗帰命せよ

     已上大経意

観経意   九首
1
恩徳広大釈迦如来
 韋提夫人に勅してぞ
 光台現国のそのなかに
 安楽世界をえらばしむ
2
頻婆娑羅王勅せしめ
 宿因その期をまたずして
 仙人殺害のむくいには
 七重のむろにとじられき
3
阿闍世王は瞋怒して
 我母是賊としめしてぞ
 無道に母を害せんと
 つるぎをぬきてむかいける
4
耆婆月光ねんごろに
 是旃陀羅とはじしめて
 不宜住此と奏してぞ
 闍王の逆心いさめける
5
耆婆大臣おさえてぞ
 却行而退せしめつつ
 闍王つるぎをすてしめて
 韋提をみやに禁じける
6
弥陀釈迦方便して
 阿難目連富楼那韋提
 達多闍王頻婆娑羅
 耆婆月光行雨等
7
大聖おのおのもろともに
 凡愚底下のつみびとを
 逆悪もらさぬ誓願に
 方便引入せしめけり
8
釈迦韋提方便して