五月廿九日     在判
慈信房御返事

(四)いやおんなのこと、ふみかきてまいらせられ候うなり。いまだ、いどころもなくて、わびいて候うなり。あさましくあさましくもてあつかいて、いかにすべしともなくて候うなり。あなかしこ。
 三月廿八日     (花押)
わ□ごぜんへ     しんらん

(五)ひたちの人々の御中へこのふみをみせさせ給え。すこしもかわらず候う。このふみにすぐべからず候えば、このふみをくにの人々おなじこころに候わんずらん。あなかしこ、あなかしこ。
 十一月十一日     (花押)
いまごぜんのははに

(六)このいまごぜんのははの、たのむかたもなく、そろうをもちて候わばこそ、ゆずりもし候わめ。せんしに候いなば、くにの人々、いとおしうせさせたまうべく候う。このふみをかくひたちの人々をたのみまいらせて候えば、申しおきて、あわれみあわせたまうべく候う。このふみをごらんあるべく候う。このそくしょうぼうも、すぐべきようもなきものにて候えば、申しおくべきようも候わず。みのかなわず、わびしう候うことは、ただこのこと、おなじことにて候う。ときにこのそくしょうぼうにも申しおかず候う。ひたちの人々ばかりぞ、このものどもをも御あわれみあわれ候うべからん。いとおしう、人々あわれみおぼしめすべし。この