それと、ことり、又、い□く、又、それにのぼりて候いし時、弟法師とて候いしが、このごろ□四郎と申し候うは参らせんと申し候えば、父母うちすてては参らじと心には申し候うと申し候えども、それはいかようにもはからい候う□く田舎に□にみを入れて代を参らせんとも、栗沢が候わんずれば申し候うべし。たうし代はいくほどかは候うべきとぞおぼえ候う。これらほどの男は世に□なく申し候う也。又、小袖、度々給わりて候う。うれしさ、今は、黄泉小袖にて、きぬも候わんずれば、申すばかり候わず、うれし□也。今はあまり着て候うものは、最後の時の事はなして、思わず候う。今は時日を待つ身にて候えば、又、確かならん便に、小袖給ぶべきよし仰せられて候いし。この衛門入道の便は確かに候わんずらん。又、宰相殿は、ありつきておわしまし候うやらん。よろず、公達の事ども、皆うけ給わりたく候う也。尽くしがたくて止め候いぬ。あなかしこ、あなかしこ。
 九月七日
 又、若狭殿も今は年すこし寄りてこそおわしまし候わめ。あわれ、ゆかしくこそ思い候え。年寄りては、いかがしくみて候う人も、ゆかしく見たくおぼえ候いけり。かこの前の事のいとおしさ、上蓮房の事も思い出でられてゆかしくこそ候え。あなかしこ、あなかしこ。

(十)便を喜びて申し候う。さては、今年まであるべしと思わず候いつれども、今年は八十七やらんになり候う。寅の年のものにて候えば、八十七やらん八やらんになり候えば、今は時日を待ちてこそ候えども、年こそ恐ろしくなりて候えども、咳く事候わねば、唾などは□事候わず。腰、膝打たすると申□ともたふしま