共に信あらば、何事か成らざらん。群臣信無くは、万の事悉くに敗れん。
 十に曰わく、忿を絶ち瞋を棄てて、人の違うことを怒らざれ。人皆心有り。心おのおの執れること有り。彼是すれば我は非す。我是すれば彼は非す。我必ず聖に非ず。彼必ず愚かに非ず。共に是れ凡夫ならくのみ。是く非しき理、誰か能く定むべけん。相共に賢く愚かなること、鐶の端無きが如し。是をもって、彼人瞋ると雖も、還りて我が失ちを恐れよ。我独り得たりと雖も、衆に従いて同じく挙え。
 十一に曰わく、功み過りを明らかに察て、賞し罰うること必ず当てよ。日者、賞は功みに在きてせず。罰えは罪に在きてせず。事を執れる群卿、賞し罰うることを明むべし。
 十二に曰わく、国司・国造、百姓に斂らざれ。国に二の君非ず。民に両の主無し。率土の兆民は、王をもって主とす。所任る官司は、皆是れ王の臣なり。何にぞ敢えて公と、百姓に賦斂らん。
 十三に曰わく、諸の官に任せる者、同じく職掌を知れ。あるいは病しあるいは使いとして、事を闕ること有り。しかれども知ること得る日には、和うこと曾より識れる如くにせよ。其れ与り聞かずというをもって、公の務をな防げそ。
 十四に曰わく、群臣百寮、嫉み妬むこと有ること無かれ。我既に人を嫉むときは、人また我を嫉む。嫉み妬む患え、その極まりを知らず。このゆえに、智己に勝るときは悦びず。才己に優るときは嫉妬む。是をもって、五百とせにしていまし今賢しひとに遇う。千載にして一の聖を待つこと難し。其れ賢しひと聖を