今現に在まして法を説きたまふ。明とは身明・智慧明・寶樹光明に名く。是の三種の明もて常に世間を照らす。廣衆德といふは、上方此を去ること無量無邊恒河沙等の佛土にして世界有り、衆月と名く。佛を廣衆德と號す、今現に在まして法を説きたまふ。其の佛の弟子福德廣大なり、故に廣衆德と號す。今是の十方の佛、善德を初と爲し廣衆德を後と爲す。若し人一心に其の名號を稱すれば即ち阿耨多羅三藐三菩提を退せざることを得ん、此の偈に説くが如し。
若し人有りて是の諸佛の名を説くを聞くことを得ば 即ち無量の德を得 寶月の爲に説くが如し 我是の諸佛を禮したてまつる 今現に十方に在ます 其れ名を稱すること有る者は 即ち不退轉を得 東方無憂界 其の佛を善德と號す 色相金山の如く 名聞ゆること邊際無し 若し人名を聞く者は 即ち不退轉を得 我今合掌し禮したてまつる 願はくは悉く憂惱を除きたまへ 南方歡喜界の 佛を栴檀德と號す 面の淨きこと滿月の如し 光明量り有ること無し 能く諸の衆生の三毒の熱惱を滅す 名を聞くもの不退を得 是の故に稽首し禮したてまつる 西方善世界の 佛を無量明と號す 身光智慧明らかにして 照らす所邊際無し 其れ名を聞くこと有る者は 即ち不退轉を得 我今稽首し禮したてまつる 願はくは生死の際を盡したまへ 北方無動界の 佛を號して相德と爲す 身に衆の相好を具し 而も以て自ら莊嚴し 魔怨の衆を摧破し 善く諸の天・人を化す 名を聞くもの不退を得 是の故に稽首し禮したてまつる 東南月明界に 佛有ます無憂と號す 光明日月に喩へ 遇ふ者憂惱を滅す 常に衆の爲に法を説き 諸の内外の苦を除く 十方の佛稱讃したまふ 是の故に稽首し禮したてまつる 西南衆相界の 佛を號して寶施と爲す