[第一大門 九、三界攝不]
第九に彌陀の淨國の三界の攝と不攝とを明かす。 問て曰く。安樂國土は三界の中に於て何れの界の所攝ぞや。答て曰く。淨土は勝妙にして體世間を出づ。此の三界は乃ち是生死凡夫の闇宅なり。復苦樂少しく殊に、脩短異有りと雖も、統如て之を觀ずるに有漏の長津に非ざること莫し。倚伏相乘して循環無際なり。雜生の觸受四倒長く溝はる。且は因且は果、虚僞相習ぐ。深く厭ふべきなり。是の故に淨土は三界の攝に非ず。又『智度論』(卷三八意)に依るに云く。「淨土の果報は欲無きが故に欲界に非ず、地居の故に色界に非ず、形色有るが故に無色界に非ず、地居と言ふと雖も精勝妙絶なり」と。是の故に天親の『論』(浄土論)に云く。「彼の世界の相を觀ずるに、三界の道に勝過せり、究竟して虚空の如し、廣大にして邊際無し」と。是の故に『大經の讚』(讚彌陀偈)に云く。「妙土廣大にして數限を超ゆ、自然の七寶もて合成せ所れたり、佛の本願力の莊嚴より起る、淸淨大攝受を稽首したてまつる。 世界の光耀妙にして殊絶す、適悅晏安として四時無し、自利利他の力圓滿したまふ、方便巧莊嚴に歸命したてまつる」と。
[第二大門]
第二大門の中に三番の料簡有り。第一に發菩提心を明かし、第二に異見邪執を破し、第三に廣く問答を施して疑情を釋去す。
[第二大門 一、菩提心義]
初の發菩提心の内に就て四番有り。一には菩提心の功用を出し、二には菩提の名體を出し、三には發心異有ることを顯し、四には問答解釋す。 第一に菩提心の功用を出すとは、『大經』(卷下意)に云はく。「凡そ淨土に往生せんと欲はば要ず發菩提心を須ひるを源と爲す」と。