觀經序分義 卷第二

沙門善導集記
此より以下文に就て料簡するに、略して五門を作りて義を明す。一に「如是我聞」より下「五苦所逼云何見極樂世界」に至る已來は、其の序分を明す。二に日觀の初句の「佛告韋提汝及衆生」より下下品下生に至る已來は、正宗分を明す。三に「説是語時」より下諸天の發心に至る已來は、正しく得益分を明す。四に「阿難白佛」より下韋提等の歡喜に至る已來は、流通分を明す。此の四義は佛王宮に在りての一會の正説なり。五に阿難耆闍の大衆の爲に傳説するより復是一會なり。

亦三分有り。一に「爾時世尊足歩虚空還耆闍崛山」より已來は、其の序分を明す。二に「阿難廣爲大衆説如上事」より已來は、正宗分を明す。三に「一切大衆歡喜奉行」より已來は、流通分を明す。然るに化は必ず由有り、故に先づ序を明す。由序既に興りぬれば正しく所説を陳ぶ。次に正宗を明す。爲に説くこと既に周りて、所説を以て末代に傳持して、勝を歎じて勸學せんと欲して、後に流通を明す。上來五義の不同有りと雖も略して序・正・流通の義を料簡し竟んぬ。