[發起序]
二に發起序の中に就て細分して七と爲す。初めに「一時佛在」より下「法王子而爲上首」に至る已來は、化前序を明す。二に「王舍大城」より下「顏色和悅」に至る已來は、正しく發起序の禁父の縁を明す。三に「時阿闍世」より下「不令復出」に至る已來は、禁母の縁を明す。四に「時韋提希被幽閉」より下「共爲眷屬」に至る已來は、厭苦の縁を明す。五に「唯願爲我廣説」より下「敎我正受」に至る已來は、其の欣淨の縁を明す。六に「爾時世尊即便微笑」より下「淨業正因」に至る已來は、散善は行を顯す縁なりと明す。七に「佛告阿難等諦聽」より下「云何得見極樂國土」に至る已來は、正しく定善は觀を示す縁なりと明す。上來七段の不同有りと雖も、廣く發起序を料簡し竟んぬ。
[化前序]
二に次に化前序を解せば、此の序の中に就て即ち其の四有り。
初めに「一時」と言ふは、正しく起化の時を明す。佛將に説法せんとするに先づ時處に託したまふ。但衆生の開悟必ず因縁に藉るを以て、化主機に臨みて時處を待ちたまふ。又「一時」と言ふは、或は日夜十二時、年月四時等に就く。此れ皆是如來機に應じて攝化したまふ時なり。處と言ふは彼の所宜に隨ひて如來説法したまふ。或は山林の處に在まし、或は王宮聚落の處に在まし、或は曠野塚間の處に在まし、或は多少人天の處に在まし、或は聲聞菩薩の處に在まし、或は八部人天王等の處に在まし、或は純凡若しは多と一二との處に在まし、或は純聖若しは多と一二との處に在ます、其の時處に隨ひて如來觀知して增せず減ぜず、縁に隨ひて法を授けて、各々所資を益す。