廣く中輩三品を料簡し竟んぬ。
[中品上生釋]
次に中品上生の位の中に就て、亦先づ擧げ、次に辨じ、後に結す。即ち其の八有り。
一に「佛告阿難」より已下は、總じて告命を明す。
二に「中品上生者」よりは、正しく其の位を辨定することを明す。即ち是小乘の根性、上善の凡夫人なり。
三に「若有衆生」より下「無衆過患」に至る已來は、正しく第五・第六門の中の受法の不同を明す。即ち其の四有り。一には機の堪と不堪とを簡ぶことを明す。二には小乘の齋戒等を受持することを明す。三には小戒力微にして、五逆の罪を消さざることを明す。四には小戒等を持ちて犯すこと有ることを得ずと雖も、設し餘有れば、恒に改悔して必ず淸淨ならしむべきことを明す。此れ即ち上の第二の戒善の福に合するなり。然るに修戒の時、或は是終身、或は一年・一月・一日・一夜・一時等なり。此の時亦不定なり。大意は皆畢命を期と爲して、毀犯することを得ざるなり。
四に「以此善根廻向」より已下は、正しく第八門の中の所修の業を回して、所求の處に向かふことを明す。
五に「臨命終時」より下「極樂世界」に至る已來は、正しく第九門の中の、終時に聖來りて迎接したまふ不同、去時の遲疾を明す。即ち其の六有り。一には命延久しからざることを明す。二には彌陀比丘衆と與に來りて、菩薩有ること無きことを明す。是小乘の根性なるに由て、還て小根の衆を感ずるなり。三には佛金光を放ちて行者の身を照らしたまふことを明す。四には佛爲に法を説き、又出家の多衆の苦、種種の俗縁・家業・王官・長征遠防等を離るることを讚ずることを明す。汝今出家して、四輩に仰がれて、萬事憂へず、迥然として自在なり、去住障無し、此が爲に道業を修することを得。是の故に讚じて衆苦を離ると云ふ。五には行者既に見聞し已りて、欣憙に勝へず、即ち自ら身を見れば已に華臺に坐し、頭を低れて佛を禮することを明す。六には行者頭を低るること此に在りて、