衆等心を廻して淨土に生ぜんとして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 下高に接して讚じて云へ。 高下に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。菩薩大衆無央數なり。文殊師利を最も尊と爲す、大慈悲を發して苦行を行じ、弘願に違せずして衆生を度す。或は上好莊嚴の相を現じ、或は上好莊嚴の身を現ず。含靈覩見して皆喜を生ず。爲に妙法を説きて眞門に入らしむ。十方佛國に身皆到り、佛の神化を助けて法輪を轉ず。衆等心を廻して淨土に生ぜんとして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。佛と聲聞・菩薩衆、同じく舍衞に遊び祇園に住し、三塗を閉ぢ六道を絶たむと願じて、無生淨土の門を開顯したまふ。人天大衆皆來集して、尊顏を瞻仰して未聞を聽く。佛を見たてまつり經を聞きて同じく悟を得、畢命に心を傾けて寶蓮に入る。誓ひて彌陀の安養界に到り、穢國に還來して人天を度せむ。願はくは我が慈悲際限無くして、長時長劫に慈恩を報ぜむ。衆等心を廻して淨土に生ぜんとして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

[轉經分 第二段]
 高座入文。

「爾の時佛長老舍利弗に告げたまはく、是より西方、十万億の佛土を過ぎて世界有り、名けて極樂と曰ふ。其の土に佛有ます、阿彌陀と號す。今現に在まして法を説きたまふ。舍利弗、彼の土を何が故ぞ名けて極樂と爲す。其の國の衆生、衆の苦有ること無く、但諸の樂のみを受く、