「舍利弗、上方の世界に梵音佛・宿王佛・香上佛・香光佛・大焔肩佛・雜色寶華嚴身佛・娑羅樹王佛・寶華德佛・見一切義佛・如須彌山佛、是の如き等の恆河沙數の諸佛有まして、各々其の國に於て、廣長の舌相を出し、徧く三千大千世界に覆ひて、誠實の言を説きたまはく。汝等衆生、當に是の稱讚不可思議功德、一切諸佛の護念したまふ所の經を信ずべし。」

 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。上方の諸佛恆沙の如し、還て舌相を舒べたまふことは、娑婆の十惡・五逆、多く疑謗し、邪を信じ鬼に事へ神魔を餧しめて、妄に想ひて恩を求めて福有らんと謂へば、災障禍橫に轉た彌々多し。連年に病の牀枕に臥す、聾盲・腳折・手攣撅、神明に承事して此の報を得るものの爲なり。如何ぞ捨てて彌陀を念ぜざる。彌陀の願力は皆平等なり、但使回心して華自ら捧げよ。一念に快樂の國に逍遙して、畢竟常に安かにして退動すること無けん。衆等心を回して彼に生ぜんと願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

[轉經分 第十六段]
 高座入文。

「舍利弗、汝が意に於て云何。何が故ぞ名けて一切諸佛所護念經と爲る。舍利弗、若し善男子・善女人有りて、是の諸佛の所説の名及び經の名を聞かん者は、是の諸の善男子・善女人、皆一切諸佛の爲に共に護念せられて、皆阿耨多羅三藐三菩提を退轉せざることを得ん。是の故に舍利弗、汝等皆當に我が語及び諸佛の所説を信受すべし。