棄棄して出でんと欲すれば還て回去す。箇の無明の爲に悞りて人を殺す。財を貪り色を愛でて厭足すること無し。虚華幻惑許りて相親しむ。財盡き色落ちぬれば相嫌ひて恨む。須臾に義斷して屠怨の若し。屠怨娑婆の内に徧滿す。有識含情皆亦然なり。此が爲に如來偏に指授して、勸めて專ら淨土の因を修せしむ。淨土の因成じぬれば自然に到る。終る時に合掌して香烟を奉る。香烟直に彌陀佛に注ぐ。聖衆華を持ちて我が身を迎ふ。即ち華臺に坐せば紫金色なり。彼の無漏に到りぬれば、眞にして復眞なり。衆等悲流して皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。劫盡きんと欲するに時五濁盛なり。衆生邪見にして甚だ信じ難し。專にして專なれと指授して西路に歸せしめしに、他の爲に破壞せられて還て故の如し。曠劫より已來常に此の如し。是今生に始めて自ら悟るに非ず、正しく好き強縁に遇はざるに由て、輪回して得度し難からしむることを致す。今日今時要法を聞く。畢命を期と爲して誓ひて堅固なれ。堅固に心を持して身を惜まざれ。慙愧せよ釋迦諸佛の恩。心を標して爲に西方の樂を説きて、齊しく歸して正門に入らしめんと欲す。正門は即ち是彌陀界なり。究竟の解脱根源を斷ず。去來他鄕には停まるべからず。佛に從ひて家に歸せよ、本國に還りぬれば、一切の行願自然に成ず。衆等各各に淨土に生ぜんとして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。大衆人人皆合掌して、身を碎きて釋迦の恩を慙謝せよ。能く慈悲巧方便を得て、西方快樂の門を指授したまふ。