小兒を怖れしむ。是の如き等の種種に人を惱ませる者、皆此の中に墮す。五には闇冥處。謂く黑闇の處に在りて、常に闇火の爲に燒かる。大力の猛風、金剛の山を吹き、磨がしめ碎かしむること、猶し沙を散らすが如し。熱風に吹かるること、利刀もて割かるるが如し。昔大火災もて羊の口・鼻を唵ぎ、二の塼の中に龜を置きて押し殺せし者、此の中に墮す。六には不喜處。謂く大火炎有りて、晝夜に焚燒す。熱炎の嘴ある鳥・狗犬・野干あり、其の聲極惡にして甚だ怖畏すべし。常に來り食噉して骨肉狼藉たり。金剛の嘴ある虫、骨の中に往來して、其の髓を食ふ。昔貝を吹き鼓を打ちて畏るべき聲を作して、鳥獸を殺害せる者、此の中に墮す。七には極苦處。謂く嶮しき岸の下に在りて、常に鐵火の爲に燒かる。昔放逸にして殺生せる者、此の中に墮す。已上『正法經』に依る。自餘の九處經の中には説かず
[一、厭離穢土 地獄 黑繩]
二に黑繩地獄とは、等活の下に在り、縱廣前に同じ。獄卒罪人を執へて、熱鐵の地に臥せ熱鐵の繩を以て縱橫に身に拼うち、熱鐵の斧を以て繩に隨ひて切り割く。或は鋸を以て解き、或は刀を以て屠りて、百千段と作して、處處に散在す。又熱鐵の繩を懸けて交へ橫へたること無數なり。罪人を驅りて其の中に入らしむるに、惡風暴に吹きて其の身に交絡して、肉を燒き骨を焦し、楚毒極無し。已上『瑜伽論』『智度論』 又左右に大なる鐵の山有り。山の上に各々鐵の幢を建て、幢の頭に鐵の繩を張り、繩の下に多く熱せる鑊有り。罪人を驅りて、鐵の山を負はして繩の上より行かしめ、遙かに鐵の鑊に落して、摧き煮ること極無し。『觀佛三昧經』 等活地獄、及び十六の別處の一切の諸苦、十倍して重く受く。獄卒罪人を呵責して云く。心は是第一の怨なり、此の怨最も惡と爲す。此の怨能く人を縛り、送りて閻羅の處に到らしむ。汝獨り地獄に燒かれ、惡業の爲に食はらる。妻子・兄弟等の親族・眷屬も救ふこと能はずと。乃至廣説 後の五の地獄は、各々前前の一切地獄の所有の諸苦を以て、十倍して重く受くること、例して應に之を知るべし。已上『正法念經』意 人間の一百歳を以て、忉利天の一日夜と爲して、