また言わく、信にまた二種あり。一つには聞より生ず、二つには思より生ず。この人の信心、聞より生じて思より生ぜざる、このゆえに名づけて「信不具足」とす。また二種あり。一つには道ありと信ず、二つには得者を信ず。この人の信心、ただ道ありと信じて、すべて得道の人ありと信ぜざらん、これを名づけて「信不具足」とす、といえり。
已上抄出
『華厳経』
(入法界品・晋訳)に言わく、この法を聞きて、信心を歓喜して疑いなき者は、速やかに無上道を成らん、もろもろの如来と等し、となり。
(入法界品・唐訳)また言わく、如来よく永く一切衆生の疑いを断たしむ。その信の所楽に随いて、普くみな満足せしむ、となり。
(賢首品・唐訳)また言わく、信は道の元とす、功徳の母なり。一切もろもろの善法を長養す。疑網を断除して愛流を出でて、涅槃無上道を開示せしむ。信は垢濁の心なし、清浄にして驕慢を滅除す、恭敬の本なり、また法蔵第一の財とす、清浄の手として衆行を受く。信はよく恵施して心に悋むことなし。信はよく歓喜して仏法に入る。信は智功徳を増長す。信はよく必ず如来地に到る。信は諸根をして浄明利ならしむ。信力堅固なればよく壊することなし。信はよく永く煩悩の本を滅す。信はよく専ら仏功徳に向かえしむ。信は境界において所着なし、諸難を遠離して無難を得しむ。信はよく衆魔の路を超出し無上解脱道を示現せしむ。信は功徳のために種を壊らず。信はよく菩提樹を生長す。信はよく最勝智を増益す。信はよく一切仏を示現せしむ。このゆえに行に依って次第を説く。信楽最勝にしてはなはだ得ること難し。
乃至 もし常に諸仏に信奉すれば、