正覚のはなより化生して
 衆生の願楽ことごとく
 すみやかにとく満足す
5
天人不動の聖衆は
 弘誓の智海より生ず
 心業の功徳清浄にて
 虚空のごとく差別なし
6
天親論主は一心に
 無碍光に帰命す
 本願力に乗ずれば
 報土にいたるとのべたまう
7
尽十方の無碍光仏
 一心に帰命するをこそ
 天親論主のみことには
 願作仏心とのべたまえ
8
願作仏の心はこれ
 度衆生のこころなり
 度衆生の心はこれ
 利他真実の信心なり
9
信心すなわち一心なり
 一心すなわち金剛心
 金剛心は菩提心
 この心すなわち他力なり
10
願土にいたればすみやかに
 無上涅槃を証してぞ
 すなわち大悲をおこすなり
 これを回向となづけたり

  已上天親菩薩

曇鸞和尚   付釈文 三十四首
1
本師曇鸞和尚は
 菩提流支のおしえにて
 仙経ながくやきすてて
 浄土にふかく帰せしめき
2
四論の講説さしおきて
 本願他力をときたまい
 具縛の凡衆をみちびきて
 涅槃のかどにぞいらしめし
3
世俗の君子幸臨し
 勅して浄土のゆえをとう
 十方仏国浄土なり
 なにによりてか西にある
4
鸞師こたえてのたまわく
 わが身は智慧あさくして
 いまだ地位にいらざれば
 念力ひとしくおよばれず
5
一切道俗もろともに
 帰すべきところぞさらになき