諸障自然にのぞこりぬ
7
縦令一生造悪の
 衆生引接のためにとて
 称我名字と願じつつ
 若不生者とちかいたり

  已上道綽大師

善導大師   不釈文 二十六首
1
大心海より化してこそ
 善導和尚とおわしけれ
 末代濁世のためにとて
 十方諸仏に証をこう
2
世世に善導いでたまい
 法照少康としめしつつ
 功徳蔵をひらきてぞ
 諸仏の本意とげたまう
3
弥陀の名願によらざれば
 百千万劫すぐれども
 いつつのさわりはなれねば
 女身をいかでか転ずべき
4
釈迦は要門ひらきつつ
 定散諸機をこしらえて
 正雑二行方便し
 ひとえに専修をすすめしむ
5
助正ならべて修するをば
 すなわち雑修となづけたり
 一心をえざるひとなれば
 仏恩報ずるこころなし
6
仏号むねと修すれども
 現世をいのる行者をば
 これも雑修となづけてぞ
 千中無一ときらわるる
7
こころはひとつにあらねども
 雑行雑修これにたり
 浄土の行にあらぬをば
 ひとえに雑行となづけたり
8
善導大師証をこい
 定散二心をひるがえし
 貪瞋二河の譬喩をとき
 弘願の信心守護せしむ
9
経道滅尽ときいたり
 如来出世の本意なる
 弘願真宗にあいぬれば
 凡夫念じてさとるなり
10
仏法力の不思議には
 諸邪業繫さわらねば
 弥陀の本弘誓願を
 増上縁となづけたり