4
聖徳皇のあわれみて
 仏智不思議の誓願に
 すすめいれしめたまいてぞ
 住正定聚の身となれる

5
他力の信をえんひとは
 仏恩報ぜんためにとて
 如来二種の回向を
 十方にひとしくひろむべし

6
大慈救世聖徳皇
 父のごとくにおわします
 大悲救世観世音
 母のごとくにおわします

7
久遠劫よりこの世まで
 あわれみましますしるしには
 仏智不思議につけしめて
 善悪浄穢もなかりけり

8
和国の教主聖徳皇
 広大恩徳謝しがたし
 一心に帰命したてまつり
 奉讃不退ならしめよ

9
上宮皇子方便し
 和国の有情をあわれみて
 如来の悲願を弘宣せり
 慶喜奉讃せしむべし

10
多生曠劫この世まで
 あわれみかぶれるこの身なり
 一心帰命たえずして
 奉讃ひまなくこのむべし

11
聖徳皇のおあわれみに
 護持養育たえずして
 如来二種の回向に
 すすめいれしめおわします

  已上聖徳皇奉讃  十一首

愚禿悲歎述懐

1
浄土真宗に帰すれども
 真実の心はありがたし
 虚仮不実のわが身にて
 清浄の心もさらになし

2
外儀のすがたはひとごとに
 賢善精進現ぜしむ
 貪瞋邪儀おおきゆえ
 奸詐ももはし身にみてり

3
悪性さらにやめがたし
 こころは蛇蝎のごとくなり
 修善も雑毒なるゆえに
 虚仮の行とぞなづけたる