しそうろうことをたのみおぼしめして、これよりは余のひとを強縁として念仏ひろめよともうすこと、ゆめゆめもうしたることそうらわず。きわまれるひがごとにてそうろう。この世のならいにて、念仏をさまたげんとせんことは、かねて仏のときおかせたまいてそうらえば、おどろきおぼしめすべからず。ようように慈信坊がもうすことを、これよりもうしそうろうと御こころえそうろう、ゆめゆめあるべからずそうろう。法門のようも、あらぬさまにもうしなしてそうろうなり。御耳にききいれらるべからずそうろう。きわまれるひがごとどものきこえそうろう。あさましくそうろう。入信坊なんども不便におぼえそうろう。鎌倉にながいしてそうろうらん、不便にそうろう。当時それもわずらうべくてぞ、さてもそうろうらん。ちからおよばずそうろう。奥郡のひとびと、慈信坊にすかされて、信心みなうかれおうておわしましそうろうなること、かえすがえすあわれにかなしうおぼえそうろう。これもひとびとをすかしもうしたるようにきこえそうろうこと、かえすがえすあさましくおぼえそうろう。それも日ごろひとびとの信のさだまらずそうらいけることの、あらわれてきこえそうろう。かえすがえす、不便にそうらいけり。慈信坊がもうすことによりて、ひとびとの日ごろの信のたじろきおうておわしましそうろうも、詮ずるところは、ひとびとの信心のまことならぬことのあらわれてそうろう。よきことにてそうろう。それを、ひとびとは、これよりもうしたるようにおぼしめしおうてそうろうこそ、あさましくそうらえ。日ごろようようの御ふみどもをかきもちておわしましおうてそうろう甲斐もなくおぼえそうろう。『唯信鈔』、ようようの御文どもは、いまは、詮なくなりてそうろうとおぼえそうろう。よくよくかきもたせたまいてそうろう法門は、みな詮なくなりてそうろうなり。慈信坊にみなしたがいて、めでた