勤め懈ることなく、山川隔たりて数百里、遠国近国後弟参詣の儀猶煽んなり。是しかしながら聖人の弘通、冥意に叶うが致す所なり。寧ろ衆生の開悟、根熟の然らしむるによるにあらずや。おおよそ三段の『式文』称揚足りぬといえども、二世の益物讃嘆未だ倦まず。是の故に一千言の褒誉を加えて、重ねて百万端の報謝に擬す。しかればすなわち蓮華蔵界の中にして、今の講肆を照見し、檀林宝座の上より斯の梵莚に影向したまうらん。内証外用定めて果地の荘厳を添え、上求下化宜しく菩提の智断を究めたまうべし。重ねて乞う、仏閣基固くして遥かに梅怛利耶の三会に及び、法水流れ遠くして普く六趣四生の群萠を潤さん。敬いて白す。
寛正二年十二月八日奉書写訖
右筆蓮―四十七歳