多陀竭佛の如く、所有者の願悉く之を得て、人の勤苦生死の根本を拔きて、悉く佛の如くならしめん。唯爲に經を説きたまへ。施行すべき所を、疾く得しめて、決して我佛と作らん時、及ぶ者無からしめよ。願はくは佛我が爲に諸佛國の功徳を説きたまへ、我當に奉持すべし。當に那の中に住して、願を取りて佛と作り、國も亦是の如くなるべし。佛阿難に語りたまはく。其の世饒王佛、其の高明の所願の快善なるを知りて、即ち法寶藏菩薩の爲に經を説きて言はく。譬へば大海の水を、一人にして之を升量せんに、一劫にして止まずば、尚枯盡して海をして空竭ならしめ其の底泥を得べきが如し。人至心に道を求めんに、何んが而も當に得べからざらんや。求索すること精進にして休止せざれば、會ず心中所欲の願を得べきのみ。
法寶藏菩薩、世饒王佛の經を説きたまふこと是の如くなるを聞きて、則ち大に歡喜し踊躍す。其の佛則ち爲に二百一十億の佛國の中の諸天人民の善惡、國土の好醜を選擇して、爲に心中の所願を選ばしめ、用て之を與ふ。世饒王佛、經を説きたまふこと竟りて、法寶藏菩薩、便ち其の心を壹にして、則ち天眼を得て、徹視して悉く自ら二百一十億の諸佛國の中の諸天・人民の善惡、國土の好醜を見て、則ち心所欲の願を選びて、便ち是の二十四願經を結得し、則ち之を奉行すること、精進勇猛に、勤苦し求索す。是の如くなること無央數劫なり。師事し供養する所の諸佛、已過去の佛も、亦無央數なり。其の法藏菩薩、其の然る後に至りて、自ら致して作佛を得て、無量淸淨覺と名く。最尊智慧勇猛にして、光明比無し。今現在の所居の國甚だ快善なり。他方異佛の國に在りて、八方・上下の無央數の諸天・人民及び蜎飛蠕動の類を敎授するに、憂苦を過度し解脱するを得ずといふこと莫し。無量淸淨佛、菩薩爲りし時、常に是の二十四願を奉行して、珍寶のごとく愛重し、保持し恭順し、精進にして禪ら之を行ず。衆と超絶し、卓然として異有り。皆能く及ぶ者有ること無し。佛言はく。何等をか二十四願と爲す。
一に我作佛せん時、我が國中に地獄・禽獸・餓鬼・蜎飛蠕動の類有ること無からしめん。是の願を得ば乃ち作佛せん。是の願に從ふことを得ずば、終に作佛せず。