舍利子、彼の佛土の中には、是の如き等の衆妙綺飾の功徳莊嚴有りて、甚だ愛樂すべし。是の故に名けて極樂世界と爲す。
又舍利子、極樂世界淨佛土の中には、晝夜六時に常に種種上妙の天華を雨らす。光澤香潔にして細軟雜色なり。見る者をして身心適悦ならしむと雖も、而も貪著せず、有情の無量無數不可思議殊勝の功徳を増長す。彼の有情の類、晝夜六時に常に持ちて無量壽佛を供養したてまつり、晨朝の時毎に此の天華を持ちて、一食の頃に於て飛びて他方無量の世界に至り、百千倶胝の諸佛を供養したてまつり、諸佛の所に於て各々百千倶胝の樹の花を以て持散し供養して、本處に還り至りて、天に遊び住すること等し。舍利子、彼の佛土の中には、是の如き等の衆妙綺飾の功徳莊嚴有りて、甚だ愛樂すべし。是の故に名けて極樂世界と爲す。
又舍利子、極樂世界淨佛土の中には、常に種種奇妙の愛すべき雜色の衆鳥有り。所謂鵝・鴈・鶖・鷺・鴻・鶴・孔雀・鸚鵡・羯羅頻迦・命命鳥等なり。是の如きの衆鳥、晝夜六時に、恒に共に集會して、和雅の聲を出す。其の類音に隨ひて妙法を宣揚す。所謂甚深念住正斷、神足根力、覺道支等の無量の妙法なり。彼の土の衆生是の聲を聞き已りて、各々念佛・念法・念僧の無量の功徳を得て其の身に熏修す。汝舍利子、意に於て云何、彼の土の衆鳥は、豈是傍生惡趣の攝耶ならん、是の見を作すこと勿れ。所以は何ん、彼の佛の淨土には三惡道無し、尚三惡趣の名有ることを聞かず、何に況んや實の罪業所招の傍生の衆鳥有らんや。當に知るべし、皆是無量壽佛の變化の所作なり。其をして無量の法音を宣暢して、諸の有情の利益安樂を作さしむ。舍利子、彼の佛土の中には、是の如き等の衆妙綺飾の功徳莊嚴有りて、甚だ愛樂すべし。是の故に名けて極樂世界と爲す。
又舍利子、極樂世界淨佛土の中には、常に妙風有りて諸の寶樹及び寶羅網を吹くに微妙の音を出す、譬へば百千倶胝の天樂の同時に倶に作して、微妙の聲を出すが如し。甚だ愛玩すべし。是の如く彼の土には常に妙風有りて衆の寶樹及び寶羅網を吹き、種種微妙の音聲を撃ち出して、種種の法を説く。