四には延時の得忍を明す。五には一一の佛邊にして現に授記を蒙ることを明す。
八に「是名」より已下は、總じて結す。
上來八句の不同有りと雖も、廣く上品中生を解し竟んぬ。
[上品下生釋]
次に上品下生の位の中に就て、亦先づ擧げ、次に辨じ、後に結す。即ち其の八有り。
一に「上品下生者」より已下は、總じて位の名を擧ぐ。即ち是大乘下善の凡夫人なり。
二に「亦信因果」より下「無上道心」に至る已來は、正しく第六門の中の受法の不同を明す。即ち其の三有り。一には所信の因果不定なることを明す。或は信じ信ぜず、故に名けて亦と爲す。或は亦前の深信に同じかるべし。又信ずと雖も深からず、善心數々退し、惡法數々起る。此れ乃ち深く苦樂の因果を信ぜざるに由てなり。若し深く生死の苦を信ずる者は、罪業畢竟じて重ねて犯さず。若し深く淨土無爲の樂を信ずる者は、善心一び發りて永く退失すること無し。二には信間斷すと雖も、一切の大乘に於て、疑謗することを得ざることを明す。若し疑謗を起さば、縱使ひ千佛身を遶りたまふも、救ふべきに由無し。三には已上の諸善亦功無きに似たることを明す。唯一念を發して苦を厭ひて、諸佛の境界に生じ、速に菩薩大悲の願行を滿てて、生死に還り入りて、普く衆生を度せんと樂ふが故に、發菩提心と名く。此の義第三福の中に已に明し竟んぬ。
三に「以此功德」より已下は、正しく第八門の中の前の正行を回して所求の處に向かふことを明す。
四に「行者命欲終時」より下「七寶池中」に至る已來は、正しく第九門の中の、臨終に聖來りて迎接したまふと、去時の遲疾とを明す。即ち其の九有り。一には命延久しからざることを明す。二には彌陀諸の聖衆と、金華を持ちて來り應じたまふことを明す。三には化佛同時に手を授けたまふことを明す。四には聖衆同聲に等しく讚ずることを明す。五には行者の罪滅するが故に淸淨と云ひ、本所修を述ぶるが故に發無上道心と云ふことを明す。