[總結]
初に「如是我聞」より下「云何見極樂世界」に至る已來は、序分を明す。
二に「日觀」より下「下品下生」に至る已來は、正宗分を明す。
三に「説是語時」より下諸天發心に至る已來は、得益分を明す。
四に「爾時阿難」より下韋提等の歡喜に至る已來は、王宮の流通分を明す。
五に「爾時世尊」より下「作禮而退」に至る已來は、總じて耆闍分を明す。
上來五分の不同有りと雖も、總じて『觀經』一部の文義を解し竟んぬ。
竊に以みれば、眞宗遇ひ叵く、淨土の要逢ひ難し。五趣をして齊しく生ぜしめんと欲す、是を以て勸めて後代に聞かしむ。但如來の神力、轉變無方なり。隱顯機に隨ひて、王宮に密に化す。是に於て耆闍の聖衆、小智疑を懷く。佛後に山に還りたまふに、委況を闚はず。時に阿難、爲に王宮の化、定散兩門を宣ぶ。異衆此に因りて同じく聞きて、奉行して頂載ずといふこと莫し。
[後跋]
敬ひて一切有縁の知識等に白す。余は既に是生死の凡夫、智慧淺短なり。然るに佛敎幽微にして敢へて輒く異解を生ずべからず。遂に即ち心を標し願を結して、靈驗を請求す。方に心を造め、盡虚空徧法界の一切の三寶、釋迦牟尼佛・阿彌陀佛・觀音・勢至、彼の土の諸の菩薩大海衆、及び一切の莊嚴相等に南無し歸命したてまつる。某今此の『觀經』の要義を出して、古今を楷定せんと欲す。若し三世の諸佛・釋迦佛・阿彌陀佛等の大悲の願意に稱はば、願はくは夢の中にして上の所願の如きの一切の境界諸相を見ることを得しめたまへと。佛像の前にして願を結し已りて、日別に『阿彌陀經』を誦すること三徧、阿彌陀佛を念ずること三萬徧、心を至して發願す。即ち當夜に於て見るらく、西方の空中に、上の如きの諸相の境界、悉く皆顯現す。雜色の寶山百重千重なり。種種の光明、下地を照らす、地は金色の如し。中に諸佛・菩薩有まして、