時機相感ずれば聞きて即ち悟る。説の如く修行して疑を致さず。七日名を稱して間雜すること無く、身心躍踊して喜び還悲しむ。慶しいかな希に自の家國を聞くことを得、諸佛證判して還歸することを得。衆等心を回して皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

[轉經分 第十四段]
 高座入文。

「舍利弗、下方の世界に、師子佛・名聞佛・名光佛・達摩佛・法幢佛・持法佛、是の如き等の恆河沙數の諸佛有まして、各々其の國に於て廣長の舌相を出し、徧く三千大千世界に覆ひて、誠實の言を説きたまはく。汝等衆生、當に是の稱讚不可思議功德、一切諸佛の護念したまふ所の經を信ずべし。」

 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。下方の諸佛恆沙の如し。各々本國にして衆生を度し、釋迦の五濁に出でて、能く難事を爲して羣萠を化したまふことを證讚したまふ。善巧宜しきに隨ひて惡を斷たしめ、偏心に指授して西に向ひて行かしむ。一切の福業皆回向すれば、終時に化佛自ら來迎したまふ。利根の智者は聞きて歡喜し、忽に三塗を憶して心即ち驚く。驚心毛豎ちて勤めて懺悔せよ、恐らくは罪滅せずして深坑に墮せんことを。衆等心を回して淨土に生ぜんとして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

[轉經分 第十五段]
 高座入文。