いま庶わくは道俗等、大悲の願船は清浄信心をして順風とす、無明の闇夜には功徳の宝珠をして大炬とす。心昏くして識寡なきものは、敬んでこの道を勉めよ。悪重く障多きものは、深くこの信を崇めよ。ああ、弘誓の強縁、多生にも値い難く、真実の浄信、億劫にも獲叵し。遇信心を獲ば遠く宿縁を慶べ、もしまたこのたび疑網に覆蔽せられなば、更って必ず曠劫多生を径歴せん。摂取不捨の真理、超捷易往の教勅、聞思して遅慮することなかれ。慶ばしきかな、愚禿、仰いで惟いみれば、心を弘誓の仏地に樹て、情を難思の法海に流す。聞くところを嘆じ、獲るところを慶んで、真言を探り集め、師釈を鈔出して、専ら無上尊を念じて、特に広大の恩を報ず。
 これに因って、曇鸞菩薩の『註論』を披閲するに、言わく、「それ菩薩は仏に帰す、孝子の父母に帰し、忠臣の君后に帰して、動静己にあらず、出没必ず由あるがごとし。恩を知りて
今庶、道俗等、大悲願船清浄信心而為順風、無明闇夜功徳宝珠而為大炬。心昏識寡、敬勉斯道。悪重障多深崇斯信。噫、弘誓強縁、多生難値、真実浄信、億劫叵獲。遇獲信心遠慶宿縁、若也此回覆蔽疑網、更必径歴曠劫多生。摂取不捨之真理、超捷易往之教勅、聞思莫遅慮。慶哉、愚禿、仰惟、樹心弘誓仏地、流情難思法海。嘆所聞、慶所獲、採集真言、鈔出師釈、専念無上尊、特報広大恩。
因茲、披閲曇鸞菩薩註論、言、夫菩薩帰仏、如孝子之帰父母、忠臣之帰君后、動静非己、出没必由。知恩報徳、