無眼人とぞなづけたる
 無耳人とぞのべたまう
5
無上上は真解脱
 真解脱は如来なり
 真解脱にいたりてぞ
 無愛無疑とはあらわるる
6
平等心をうるときを
 一子地となづけたり
 一子地は仏性なり
 安養にいたりてさとるべし
7
如来すなわち涅槃なり
 涅槃を仏性となづけたり
 凡地にしてはさとられず
 安養にいたりて証すべし
8
信心よろこぶそのひとを
 如来とひとしとときたまう
 大信心は仏性なり
 仏性すなわち如来なり
9
衆生有碍のさとりにて
 無碍の仏智をうたがえば
 曾婆羅頻陀羅地獄にて
 多劫衆苦にしずむなり

  已上諸経意

現世利益和讃   十五首
1
阿弥陀如来来化して
 息災延命のためにとて
 金光明の寿量品
 ときおきたまえるみのりなり
2
山家の伝教大師は
 国土人民をあわれみて
 七難消滅の誦文には
 南無阿弥陀仏をとなうべし
3
一切の功徳にすぐれたる
 南無阿弥陀仏をとなうれば
 三世の重障みなながら
 かならず転じて軽微なり
4
南無阿弥陀仏をとなうれば
 この世の利益きわもなし
 流転輪回のつみきえて
 定業中夭のぞこりぬ
5
南無阿弥陀仏をとなうれば
 梵王帝釈帰敬す
 諸天善神ことごとく
 よるひるつねにまもるなり
6
南無阿弥陀仏をとなうれば
 四天大王もろともに
 よるひるつねにまもりつつ