よろずの悪鬼をちかづけず

7
南無阿弥陀仏をとなうれば
 堅牢地祇は尊敬す
 かげとかたちとのごとくにて
 よるひるつねにまもるなり

8
南無阿弥陀仏をとなうれば
 難陀跋難大龍等
 無量の龍神尊敬し
 よるひるつねにまもるなり

9
南無阿弥陀仏をとなうれば
 炎魔法王尊敬す
 五道の冥官みなともに
 よるひるつねにまもるなり

10
南無阿弥陀仏をとなうれば
 他化天の大魔王
 釈迦牟尼仏のみまえにて
 まもらんとこそちかいしか

11
天神地祇はことごとく
 善鬼神となづけたり
 これらの善神みなともに
 念仏のひとをまもるなり

12
願力不思議の信心は
 大菩提心なりければ
 天地にみてる悪鬼神
 みなことごとくおそるなり

13
南無阿弥陀仏をとなうれば
 観音勢至はもろともに
 恒沙塵数の菩薩と
 かげのごとくに身にそえり

14
無碍光仏のひかりには
 無数の阿弥陀ましまして
 化仏おのおのことごとく
 真実信心をまもるなり

15
南無阿弥陀仏をとなうれば
 十方無量の諸仏は
 百重千重囲繞して
 よろこびまもりたまうなり

  已上現世利益

首楞厳経によりて大勢至菩薩
和讃したてまつる   八首
1
勢至念仏円通して
 五十二菩薩もろともに
 すなわち座よりたたしめて
 仏足頂礼せしめつつ

2
教主世尊にもうさしむ
 往昔恒河沙劫に
 仏世にいでたまえりき