凡夫善悪の心水も
 帰入しぬればすなわちに
 大悲心とぞ転ずなる
40
造悪このむわが弟子の
 邪見放逸さかりにて
 末世にわが法破すべしと
 蓮華面経にときたまう
41
念仏誹謗の有情は
 阿鼻地獄に堕在して
 八万劫中大苦悩
 ひまなくうくとぞときたまう
42
真実報土の正因を
 二尊のみことにたまわりて
 正定聚に住すれば
 かならず滅度をさとるなり
43
十方無量の諸仏の
 証誠護念のみことにて
 自力の大菩提心の
 かなわぬほどはしりぬべし
44
真実信心うることは
 末法濁世にまれなりと
 恒沙の諸仏の証誠に
 えがたきほどをあらわせり
45
往相還相の回向に
 もうあわぬ身となりにせば
 流転輪回もきわもなし
 苦海の沈淪いかがせん
46
仏智不思議を信ずれば
 正定聚にこそ住しけれ
 化生のひとは智慧すぐれ
 無上覚をぞさとりける
47
不思議の仏智を信ずるを
 報土の因としたまえり
 信心の正因うることは
 かたきがなかになおかたし
48
無始流転の苦をすてて
 無上涅槃を期すること
 如来二種の回向の
 恩徳まことに謝しがたし
49
報土の信者はおおからず
 化土の行者はかずおおし
 自力の菩提かなわねば
 久遠劫より流転せり
50
南無阿弥陀仏の回向の
 恩徳広大不思議にて
 往相回向の利益には
 還相回向に回入せり
51
往相回向の大慈より