中に未だ阿惟越致の菩薩を得ざる者有れば、則ち阿惟越致の菩薩を得しむ。阿彌陀佛、輒ち其の本の宿命に道を求むる時心の喜願する所に隨ひ、大小意に隨ひて、爲に經を説きて、輒ち之に授けて、其をして疾く開解得道し皆悉く明慧ならしむ。各々自ら好喜し、願ふ所の經道なれば、喜ばずといふこと莫し。誦習を樂ふ者は、則ち各々自ら諷誦して經道を通利して厭無く極無し。諸の菩薩・阿羅漢の中に經を誦する者有り、其の音雷聲の如し。中に經を説く者有り、疾風暴雨の時の如し。諸の菩薩・阿羅漢、經を説き道を行ずること皆各々是の如し。一劫を盡くすとも竟終に懈り倦む時無し。皆悉く智慧勇猛に、身體皆輕く、便ち終に痛痒有ること無し。極時の行歩坐起、皆悉く才健勇猛なること、師子中の王の深林の中に在りて、當に趣向する所有るべき時、敢て當る者有ること無きが如く、無量淸淨佛國の諸の菩薩・阿羅漢、經を説き道を行ずること、皆勇猛にして疑難の意有ること無し。則ち心に在りて作爲する所豫め計らざること百千億萬倍なり。是猛師子の中の王なり。是の如きの猛師子の中の王、百千億萬倍すとも、尚復我が第二の弟子の摩訶目犍連の勇猛なるに如かざること、百千億萬倍なり。無量淸淨國の諸の菩薩・阿羅漢、皆我が第二の弟子摩訶目犍連に勝れり。佛言はく。摩訶目犍連の勇猛の如きは、諸佛國の諸の阿羅漢の中に於て、最も比無しと爲す。摩訶目犍連の如き、飛行進止智慧勇猛に、洞かに視徹かに聽き、八方・上下、去・來・現在の事を知ること、百千億萬倍なるを、都て合して一智慧勇猛と爲して、當に無量淸淨佛國の諸の阿羅漢の中に在らしめんに、其の徳尚復無量淸淨佛國の一の阿羅漢の智慧勇猛に如かざること、千億萬倍なるべし。是の時坐中に一の菩薩有り、阿逸菩薩と字く。阿逸菩薩、則ち起ちて前みて長跪叉手し、佛に問いたてまつりて言く。阿彌陀佛國中の諸の阿羅漢、寧ろ頗る般泥洹して去る者有りやいなや、願はくは之を聞かんと欲ふ。佛阿逸菩薩に告げたまはく。若ぢ知らんと欲せば、是の如き四天下の星、若之を見るやいなや。阿逸菩薩言く。唯然なり、皆之を見る。佛言はく。而ぢ我が第二の弟子、摩訶目犍連、四天下を飛行して一日一夜遍く星を數へて幾枚か有ると知らんとするも、是の如き四天下の星は甚だ衆多にして、計ふることを得べからざるもの、