『助道』(菩薩資糧論巻三意)の中に説くが如し。
菩薩未だ阿惟越致地に至ることを得ずは 應に常に勤精進して 猶頭燃を救ひ 重担を荷負するが如くすべし 菩提を求むる爲の故に 應に常に勤精進して 懈怠の心を生ぜざるべし 聲聞乘・辟支佛乘を求むる者の若きは 但己が利を成ぜん爲にだも 常に應に勤精進すべし 何に況や菩提に於て 自ら度し亦彼を度せんをや 此の二乘の人於りも 億倍して精進すべし
大乘を行ずる者には佛是の如く説きたまへり。發願して佛道を求むるは三千大千世界を擧ぐるよりも重し。汝阿惟越致地は是の法甚だ難し、久しくして乃ち得べし、若し易行道の疾く阿惟越致地に至ることを得る有りやと言はば、是乃ち怯弱下劣の言なり、是大人志幹の説に非ず。汝若し必ず此の方便を聞かんと欲せば、今當に之を説くべし。佛法に無量の門有り、世間の道に難有り易有り、陸道の歩行は則ち苦しく、水道の乘船は則ち樂しきが如し。菩薩の道も亦是くの如し。或は勤行精進のもの有り、或いは信方便易行を以て疾く阿惟越致に至る者有り。偈に説くが如し。
東方善德佛 南栴檀德佛 西無量明佛 北方相德佛 東南無憂德 西南寶施佛 西北華德佛 東北三乘行 下方明德佛 上方廣衆德 是くの如きの諸の世尊 今現に十方に在ます 若し人疾く不退轉地に至らむと欲ふ者は 應に恭敬心を以て執持して名號を稱すべし