十四に上輩觀の行善の文前に就て、總じて料簡して即ち十一門と爲す。一には總じて告命を明す。二には其の位を辨定す。三には總じて有縁の類を擧ぐ。四には三心を辨定して以て正因と爲す。五には正しく機の堪と不堪とを簡ぶことを明す。六には正しく受法の不同を明す。七には正しく修業の時節の延促異有ることを明す。八には所修の行を廻して彌陀佛國に生ぜんと願ずることを明す。九には命終の時に臨みて、聖來りて迎接したまふことの不同、去時の遲疾を明す。十には彼に到りて華開の遲疾の不同を明す。十一には華開已後の得益に異有ることを明す。今此の十一門の義は、九品の文に約對するに、一一の品の中に就て、皆此の十一有り。即ち一百番の義と爲す。又此の十一門の義は、上輩の文前に就て總じて料簡するも亦得たり。或は中下輩の文前に就て各々料簡するも亦得たり。又此の義若し文を以て來し勘ふれば、即ち具・不具有り。隱顯有りと雖も、若し其の道理に據らば、悉く皆有るべし。此の因縁の爲の故に、須く廣開して顯出すべし。依行せん者をして解り易く識り易からしめんと欲す。
上來十一門の不同有りと雖も、廣く上輩三品の義意を料簡し竟んぬ。
[上品上生釋]
次下に先づ上品上生の位の中に就て、亦先づ擧げ、次に辨じ、後に結す。即ち其の十二有り。
一に「佛告阿難」より已下は即ち雙べて二の意を標す。一には告命を明す。二には其の位を辨定することを明す。此れ即ち大乘の上善を修學する凡夫人なり。
三に「若有衆生」より下「即便往生」に至る已來は、正しく總じて有生の類を擧ぐることを明す。即ち其の四有り。一には能信の人を明す。二には往生を求願することを明す。三には發心の多少を明す。四には得生の益を明す。
四に「何等爲三」より下「必生彼國」に至る已來は、正しく三心を辨定して以て正因と爲すことを明す。即ち其れ二有り。一には世尊機に隨ひて益を顯すこと意密にして知り難し、