或は坐し或は立し、或は語し或は嘿す、或は身手を動かし、或は住して動ぜざる者あり。既に此の相を見て、合掌して立觀す。量久しくして乃ち覺む、覺め已りて欣喜に勝へず。於に即ち義門を條録す。此より已後、毎夜の夢の中に常に一僧有りて、來りて玄義の科文を指授す。既に了りぬれば更に復見ず。後の時に脱本し竟已りて、復更に心を至して七日を要期して、日別に『阿彌陀經』を誦すること十徧、阿彌陀佛を念ずること三萬徧、初夜・後夜に、彼の佛の國土の莊嚴等の相を觀想して、誠心に歸命すること一ら上の法の如くす。當夜に即ち見るらく、三具の磑輪、道の邊に獨り轉ず。忽ちに一人有りて、白き駱駝に乘り、來り前みて勸め見らる、師當に努力して決定して往生すべし、退轉を作すこと莫れ。此の界は穢惡にして苦多し、勞はしく貪樂せざれと。答へて言く。大に賢者好心の視誨を蒙りぬ。某畢命を期と爲して、敢て懈慢の心を生ぜずと。云云 第二夜に見るらく、阿彌陀佛の身、眞金色にして、七寶樹下、金蓮華の上に在まして坐したまへり。十僧圍遶して、亦各々一の寶樹の下に坐す。佛樹の上には、乃ち天衣有りて挂り繞れり。面を正しくし西に向ひて、合掌して坐して觀ず。第三夜に見るらく、兩の幢杆あり、極めて大きに高く顯れ、旛懸りて五色なり。道路縱橫にして、人觀るに礙無し。既に此の相を得已りて、即便ち休止して七日に至らず。上來の所有靈相は、本心物の爲にして、己身の爲にせず。既に此の相を蒙りて、敢へて隱藏せず。謹みて以て義の後に申呈して、聞を末代に被らしむ。願はくは含靈をして之を聞きて信を生じ、有識の覩ん者をして西に歸せしめむ。此の功德を以て衆生に回施す。悉く菩提心を發して、慈心もて相向ひ、佛眼もて相看、菩提まで眷屬として、眞の善知識と作り、同じく淨國に歸して、共に佛道を成ぜん。此の義已に證を請ひて定め竟んぬ。一句一字も加減すべからず。寫さんと欲はん者は、一に經法の如くせよ。應に知るべし。


觀經正宗分散善義 卷第四