長命富樂にして永く病痛無し。佛の敎に準ずれば淨土の中の事を見ることを得。若し見れば、伹自ら知りて人に向ひて説くことを得ざれ。即ち大に罪有り、橫に惡病短命の報を招く。若し敎門に順ずれば、命終に臨む時、阿彌陀佛國に上品往生す。是の如く上下前に依て十六徧觀じて、然して後心を住して眉間の白毫に向ひて、極めて須く心を捉へて正しからしむべし。更に雜亂することを得ざれ。即ち定心を失して三昧成じ難し。應に知るべし。是を觀佛三昧の觀法と名く。一切の時中に常に廻すれば淨土に生ず。但『觀經』の十三觀に依て、安心して必ず疑はざることを得よ。

又白さく。行者淨土に生ぜんと欲はば、唯須く持戒し念佛し『彌陀經』を誦すべし。日別に十五徧すれば二年に一萬を得、日別に三十徧すれば一年一萬なり。日別に一萬徧佛を念ぜよ、亦須く時に依りて淨土の莊嚴の事を禮讚すべし、大に須く精進すべし。或は三萬・六萬・十萬を得る者は、皆是上品上生の人なり。自餘の功德盡く往生に廻せよ。應に知るべし。以前は觀佛三昧の法を明す。

『般舟三昧經』の請問品に、七日七夜入道場念佛三昧の法を明す。『般舟三昧經』に出でたり

「佛、跋陀和に告げたまはく。三昧有り、十方諸佛悉在前立と名く。能く是の法を行ぜば、汝の所聞悉く得べし。跋陀和佛に白さく。願はくは爲に之を説きたまへ。過度する所多くして十方を安穩ならしめん。諸の衆生の爲に大明相を現じたまへ。佛跋陀和に告げたまはく。三昧有り、定意と名く。學者常に當に守りて習持して、復餘法に隨ふことを得ざるべし。功德の中に最第一なり」と。次に行品(一卷本般舟經意)に云く。「佛跋陀和菩薩に告げたまはく、疾く是の定を得んと欲はば、常に大信を立て如法に之を行ぜば、即ち得べし。疑想毛髮の如き許も有ること勿れ。