天親菩薩、論を造りて説かく、無碍光如来に帰命したてまつる。
修多羅に依って真実を顕して、横超の大誓願を光闡す。
広く本願力の回向に由って、群生を度せんがために、一心を彰す。
功徳大宝海に帰入すれば、必ず大会衆の数に入ることを獲。
蓮華蔵世界に至ることを得れば、すなわち真如法性の身を証せしむと。
煩悩の林に遊びて神通を現じ、生死の園に入りて応化を示す、といえり。
本師、曇鸞は、梁の天子常に鸞のところに向こうて菩薩と礼したてまつる。
三蔵流支、浄教を授けしかば、仙経を焚焼して楽邦に帰したまいき。
天親菩薩の『論』、註解して、報土の因果、誓願に顕す。
往・還の回向は他力に由る。正定の因はただ信心なり。
惑染の凡夫、信心発すれば、生死即涅槃なりと証知せしむ。
必ず無量光明土に至れば、諸有の衆生、みなあまねく化すといえり。
道綽、聖道の証しがたきことを決して、ただ浄土の通入すべきことを明かす。
万善の自力、勤修を貶す。円満の徳号、専称を勧む。
三不三信の誨、慇懃にして、像末法滅、同じく悲引す。
一生悪を造れども、弘誓に値いぬれば、安養界に至りて妙果