『経』
(大経)に言わく、至心回向したまえり。かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得、不退転に住せんと。唯五逆と誹謗正法とを除く、と。
已上
(如来会)また言わく、所有の善根回向したまえるを愛楽して、無量寿国に生まれんと願ずれば、願に随いてみな生ぜしめ、不退転乃至無上正等菩提を得んと。五無間・誹謗正法および謗聖者を除く、と。
已上
『浄土論』
(論註)に曰わく、「云何が回向したまえる。一切苦悩の衆生を捨てずして、心に常に作願すらく、回向を首として大悲心を成就することを得たまえるがゆえに」とのたまえり。回向に二種の相あり。一つには往相、二つには還相なり。往相は、己が功徳をもって一切衆生に回施したまいて、作願して共にかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せしめたまうなり。還相は、かの土に生じ已りて、奢摩他・毘婆舎那・方便力成就することを得て、生死の稠林に回入して、一切衆生を教化して、共に仏道に向かえしめたまうなり。もしは往・もしは還、みな衆生を抜きて生死海を渡せんがために、とのたまえり。このゆえに「回向為首得成就大悲心故」と言えり、と。
已上
また云わく、「浄入願心」とは、『論』に曰わく、「また向に観察荘厳仏土功徳成就・荘厳仏功徳成就・荘厳菩薩功徳成就を説きつ。この三種の成就は、願心の荘厳したまえるなりと、知る応し」といえりと。「応知」とは、