還相回向の大悲をう
如来の回向なかりせば
浄土の菩提はいかがせん
52
弥陀観音大勢至
大願のふねに乗じてぞ
生死のうみにうかみつつ
有情をよぼうてのせたまう
53
弥陀大悲の誓願を
ふかく信ぜんひとはみな
ねてもさめてもへだてなく
南無阿弥陀仏をとなうべし
54
聖道門のひとはみな
自力の心をむねとして
他力不思議にいりぬれば
義なきを義とすと信知せり
55
釈迦の教法ましませど
修すべき有情のなきゆえに
さとりうるもの末法に
一人もあらじとときたまう
56
三朝浄土の大師等
哀愍摂受したまいて
真実信心すすめしめ
定聚のくらいにいれしめよ
57
他力の信心うるひとを
うやまいおおきによろこべば
すなわちわが親友とぞ
教主世尊はほめたまう
58
如来大悲の恩徳は
身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩徳も
ほねをくだきても謝すべし
已上正像末法和讃 五十八首
1
不了仏智のしるしには
如来の諸智を疑惑して
罪福信じ善本を
たのめば辺地にとまるなり
2
仏智の不思議をうたがいて
自力の称念このむゆえ
辺地懈慢にとどまりて
仏恩報ずるこころなし
3
罪福信ずる行者は
仏智の不思議をうたがいて
疑城胎宮にとどまれば
三宝にはなれたてまつる
4
仏智疑惑のつみにより
懈慢辺地にとまるなり
疑惑のつみのふかきゆえ
年歳劫数をふるととく