5
転輪王の王子の
皇につみをうるゆえに
金鎖をもちてつなぎつつ
牢獄にいるがごとくなり
6
自力称名のひとはみな
如来の本願信ぜねば
うたがうつみのふかきゆえ
七宝の獄にぞいましむる
7
信心のひとにおとらじと
疑心自力の行者も
如来大悲の恩をしり
称名念仏はげむべし
8
自力諸善のひとはみな
仏智の不思議をうたがえば
自業自得の道理にて
七宝の獄にぞいりにける
9
仏智不思議をうたがいて
善本徳本たのむひと
辺地懈慢にうまるれば
大慈大悲はえざりけり
10
本願疑惑の行者には
含花未出のひともあり
或生辺地ときらいつつ
或堕宮胎とすてらるる
11
如来の諸智を疑惑して
信ぜずながらなおもまた
罪福ふかく信ぜしめ
善本修習すぐれたり
12
仏智を疑惑するゆえに
胎生のものは智慧もなし
胎宮にかならずうまるるを
牢獄にいるとたとえたり
13
七宝の宮殿にうまれては
五百歳のとしをとしをへて
三宝を見聞せざるゆえ
有情利益はさらになし
14
辺地七宝の宮殿に
五百歳までいでずして
みずから過咎をなさしめて
もろもろの厄をうくるなり
15
罪福ふかく信じつつ
善本修習するひとは
疑心の善人なるゆえに
方便化土にとまるなり
16
弥陀の本願信ぜねば
疑惑を帯してうまれつつ
はなはすなわちひらけねば
胎に処するにたとえたり