心念香花遍供養　長時長劫報慈恩」（般舟讃）
　　　念仏
　「何期今日至宝国　実是娑婆本師力
　　若非本師知識勧　弥陀浄土云何入」（般舟讃）
　　　南無帰命頂礼尊重讃嘆祖師聖霊
　第二に本願相応の徳を嘆ずというは、念仏修行の人、之多しといえども、専修専念の輩、甚だ稀なり。あるいは自証唯心に沈みて、徒に浄土の真証を貶しめ、あるいは定散の自心に迷いて、宛も金剛の真信に闇し。しかるに、祖師聖人、至心信楽己を忘れて、速やかに無行不成の願海に帰し、憶念称名、精有りて、鎮えに不断無辺の光益に関る。身にその証理を彰し、人、彼の奇特を看ること勝計すべからず。しかのみならず、来問の貴賎に対して専ら他力易往の要路を示し、面謁の道俗を誘えて偏に善悪凡夫の生因を明かす。所以に善導大師の曰わく、「今時の有縁あい勧めて、誓いて浄土に生ぜしむるは、すなわち是、諸仏本願の意に称うなり」（定善義）と。また曰わく、「大悲伝普化　真成報仏恩」（往生礼讃）と。しかれば、祖師聖人、金剛の信心を発起して自身の生因を定得し、本願の名号を流行して衆機の往益を助成す。豈、本願相応の徳にあらずや、寧ろ仏恩報尽の勤にあらずや。また恒に門徒に語りて曰わく、「信謗、共に因と為りて、同じく往生浄土の縁を成ず」と。誠なるかな、斯の言、疑う者も必ず信を執り、謗ずる者も遂に情を翻えす。実に是仏意相応の化導、そもそも、また勝利広大の知識なり。悪時悪世界の今、常没流転の族、もし聖人の