亦復天上の飮食の味にも非ず。此の百味の飮食は、都て八方・上下の衆の自然の飮食の中の精味爲り。甚だ香美にして比有ること無し。都て自然に化生するのみ。其の飮食は得んと欲する所の味の甜酢に自在にして、鉢も得んと欲する所に自在なり。諸の菩薩・阿羅漢の中に銀鉢を得んと欲する者有り、中に金鉢を得んと欲する者有り、中に水精の鉢を得んと欲する者有り、中に琉瑠の鉢を得んと欲する者有り、中に珊瑚の鉢を得んと欲する者有り、中に虎珀の鉢を得んと欲する者有り、中に白玉の鉢を得んと欲する者有り、中に車
の鉢を得んと欲する者有り、中に瑪瑙の鉢を得んと欲する者有り、中に明月珠の鉢を得んと欲する者有り、中に摩尼珠の鉢を得んと欲する者有り、中に紫磨金の鉢を得んと欲する者有り、皆其の中に百味の飮食滿たせり。自ら恣若に意に隨ひて則ち至る。亦從來する所も無く、亦供作する者も有ること無し、自然に化生するのみ。諸の菩薩・阿羅漢、皆食するに、食亦多からず亦少からず、悉く自然に平等なり。諸の菩薩・阿羅漢食、亦美惡を言はず、亦美を以ての故に喜ばず。食し已れば諸の飯具・鉢・机・坐、皆自然に化し去り、食せんと欲する時は乃ち復化生するのみ。諸の菩薩・阿羅漢、皆心淸潔にして飯食を慕はず、但用て氣力を作すのみ。皆自然に消散し糜盡して化し去る。
佛阿難に告げたまはく。阿彌陀佛、諸の菩薩・阿羅漢の爲に法を説きたまふ時、都て悉く大に講堂の上に會す。其の國の諸の菩薩・阿羅漢及び諸天・人民、無央數にして、都て復計ふべからず。皆無量淸淨佛の所に飛び到りて、悉く前みて無量淸淨佛の爲に禮を作し、却き坐して經を聽く。無量淸淨佛便則ち諸の比丘僧、諸の菩薩・阿羅漢、諸天・人民の爲に、廣く道智大經を説きたまふ。皆悉く經道を聞知して、歡喜踊躍して心に開解せざる者莫し。即ち四方より自然の亂風起りて、國中の七寶樹を吹くに、七寶樹皆復五の音聲を作せり。亂風七寶の華を吹くに、華其の國に覆蓋し、皆虚空の中に在りて下り向ふ。華甚だ香くして極めて自ら軟好なり、香國中に遍ず。華皆自ら無量淸淨佛及び諸の菩薩・阿羅漢の上に散ず。華地に墮ちて皆厚さ四寸なり。華適に小しく萎めば則ち自然の亂風吹きて萎める華自然に去る。則ち四方より倶に復自然の亂風起りて、