是を三種の菩提門相違の法を遠離すと名く。順菩提門といふは、
菩薩是の如き三種の菩提門相違の法を遠離して、三種の隨順菩提門の法滿足することを得が故に。何等か三種。一には无染淸淨心。自身の爲に諸樂を求めざるを以ての故にと。菩提は是无染淸淨の處なり。若し身の爲に樂を求ば即ち菩提に違す。是の故に无染淸淨心は是菩提に順ずる門なり。
二には安淸淨心。一切衆生の苦を拔くを以ての故にと。菩提は是一切衆生を安穩する淸淨處なり。若し心を作して、一切衆生を拔て生死の苦を離れざれば即ち菩提に違す。是の故に一切衆生の苦を拔くは、是順菩提門なり。
三には樂淸淨心。一切衆生をして大菩提を得しむるを以の故に、衆生を攝取して彼の國土に生しむるを以ての故にと。菩提は是畢竟常樂の處なり。若し一切衆生をして畢竟常樂を得しめずば則ち菩提に違す。此畢竟常樂は何に依てか得る、大乘門に依る、大乘門といふは、謂く彼の安樂佛國土是なり。是の故に又言く、衆生を攝取して彼の國土に生ぜしむるを以ての故にと。
是を三種の隨順菩提門の法滿足すと名く、知るべしと。