[第三大門 二、劫之大小]
第二に劫の大小を明すとは、『智度論』(卷五・三八意)に云ふが如し。劫に三種有り。謂く一には小、二には中、三には大なり。方四十里の如き城あり、高下も亦然らんが如し。中に芥子を滿てて長壽の諸天有りて三年に一を去り乃至芥子盡くるを一小劫と名く。或は八十里の城ありて高下も亦然らん、芥子を中に滿てるを前の如く取り盡くすを一中劫と名く。或は百二十里の城ありて高下も亦然らん、芥子中に滿てるを取り盡すこと一に前の説に同じきを方に大劫と名く。或は八十里の石ありて高下も亦然らん、一の長壽の諸天有りて三年に天衣を以て一び拂ふ。天衣の重さ三銖、爲に拂ふこと已まずして、此の石乃ち盡くるを名けて中劫と爲す。其の小石・大石前の中劫に類す、知るべし。勞しく具に述べず。
[第三大門 三、輪廻無窮]
第三門の中に五番有り。 第一に無始劫より來た、此に在りて輪廻無窮にして身を受くること無數なることを明すとは、『智度論』(卷一六意)に云ふが如し。「人中に在りて或は張家に死して王家に生じ、王家に死して李家に生ず。是の如く閻浮提の界を盡くして、或は重ねて生じ或は異家に生ず。或は南閻浮提に死して西拘耶尼に生ず。閻浮提の如く餘の三天下も亦是の如し。如し四天下に死して四天王天に生ずることも亦是の如し。或は四天王天に死して忉利天に生ず。忉利天に死して餘の上四天に生ずることも亦是の如し。色界に十八重天あり、無色界に四重天有り。此に死して彼に生ず。一一に皆徧きこと亦是の如し。或は色界に死して阿鼻地獄に生ず。阿鼻地獄の中に死して餘の輕繋地獄に生ず。輕繋地獄の中に死して畜生の中に生ず。畜生の中に死して餓鬼道の中に生ず。餓鬼道の中に死して或は人天の中に生ず。是の如く六道に輪廻して苦樂二報を受け生死窮無し。胎生既に爾なり、餘の三生も亦是の如し」と。是の故に『正法念經』(卷六〇意)に云く。「菩薩化生して諸の天衆に告げて云く。