有流の見解心一に非ず。故に八万四千の門有り、門門不同にして亦別に非ず、別別の門還りて是同なり。同なる故は即ち是如來の致なり、別なる故は復是慈悲の心なり。悲心もて念念に三界を縁ず。人天四趣罪根深し。過現の諸佛皆來りて化すれども、無明業障もて相逢はず。慙愧す釋迦の弘誓重くして、娑婆十惡の藂を捨てざることを。希に道場に遇ひて淨土を聞く、騰神永く逝いて煩籠を出でん。衆等心を傷ましくして共に悲嘆して、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。釋迦如來正覺を成じてより、四十九載衆生を度したまふ。五天竺國に皆化を行ずるに、邪魔外道盡く歸宗す。天上天下に佛に過ぎたるは無し。慈悲もて苦を救ひたまふ、實に逢ひ難し。或は神光を放ちて六道に徧ず、光觸を蒙る者は慈心を起す。或は住し或は來るに皆盡く益す。三塗永く絶えて追尋を斷ず。或は大地・山・河・海を震はしむ。萌冥の信深からざるを覺せしめんが爲なり。或は自ら説法して敎へて相勸め、展轉して相將ゐて法林に入らしむ。法林は即ち是彌陀國なり。逍遙快樂して相侵さず。衆等心を傾けて皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。如來の敎法は元無二なり。正しく衆生の機不同なるが爲に、一音もて演説したまふに縁に隨ひて悟る。殘結を留めずして生空を證す。或は神通を現じ或は説法す、或は外道を服せしめ魔蹤を滅す。自ら一身を利して縛を免ると雖も、悲心普く益すること絶えて功無し。灰身滅智して無餘を證す。二万劫盡きて復心を生ず。生心覺動して身還現ず。諸佛先づ敎へて大乘を發さしむ。